初恋は、君の涙に溶けていく
私の告白を聞いた八尋の反応は、穏やかで優しかった。
一瞬だけ驚いた顔をして、それからちょっと困った表情に変わったから、その時点で、

ああ、振られちゃうな、って確信したけど。

八尋は座っていた自分の席から立ち上がって、窓際に立っている私の所まで来てくれた。

それから少し屈んで、私の顔を覗き込んで、

「うん。ありがとう」

って言った。

私の気持ちが、

『しっかり伝わったよ』

って言ってもらえた気がして嬉しかった。

だけど、やっぱりすぐに続けて、

「でも、ごめん。七花を彼女にはできないんだ」

と言われたんだ。

どのタイミングで涙が出たのか自分でもよくわからない。

だけど、私はとっくに泣いていた。

振られて泣くのって嫌だ。

振られた相手に泣き顔を見られるのも。

そう思うのに、私は八尋の真っ直ぐな視線から顔を背けられないで、

ポロポロと涙をこぼしながら、八尋の顔を見つめていた。

背が高くて綺麗で優しい男の子。

私が初めて好きになった人。



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