初恋は、君の涙に溶けていく
最初の頃、八尋はなかなかクラスに馴染めなかった。

休み時間のたびに女子に囲まれてチヤホヤされるので、男子から反感を買ったのだ。

女子は女子で、集団で八尋に近寄っては来るけれど、個人的に友達になるほど踏み込んでくる子はいなかった。
王子様に抜け駆けすると、女子の間で孤立するから。

そんな感じで、なかなかクラスの輪に入れないで困っている八尋を見かねた私は、隣の席のよしみで色々とフォローしてあげることにした。

学校の細かなルールを教えてあげたり、地元の子なら誰でも知ってる通学路の抜け道を教えてあげたり、とか。

お互いの家が近かったので、登下校も一緒にするようになって、私達は自然と友達になっていった。

幸いなことに、私が恋愛関係に鈍いのは女子の間で有名だったから、私が八尋に近づいても抜け駆けとは思われなかったし。

私と八尋はいつも一緒にいるのが当たり前になって、二人の関係はやがて友達から親友に変わっていく。

いつもくだらないお喋りが長くなって、下校途中に公園のベンチに寄り道して、日が暮れるまで話し込む、というパターンが、私達の小学校時代の定番だった。


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