恋と旧懐~兎な彼と1人の女の子~
早すぎる。
歩きじゃなく,定期的にしか出ない電車であることを考えると,流石の愛深でも早すぎる。
愛深は20分に1回の俺と同じ電車にのって,さらに20分かけて集合場所につく計算。
仮に同じ電車に乗っていたとしても,やっぱり早い。
少し迷った挙げ句,俺は時間を潰すためにすぐそこのコンビニへと足を向けた。
その最中,見慣れた後ろ姿を発見する。
まさか……
と俺は固まるけど,頭では既に確信していた。
私服姿なんて見たことない。
でもあれは確実に……
無意識に,歩くペースが早くなった。
ウウィーンと扉の開く音と,聞き馴染んだメロディーを耳で拾う。