恋と旧懐~兎な彼と1人の女の子~
白く長い柔らかなスカートに,白いスニーカー。
どこかの景色がプリントされた黒いTシャツ。
髪はハーフアップのちょい巻き。
そこには,いつも通りぽけっとした顔の愛深がいた。
お菓子を眺めながら歩いている。
……わざわざ巻いてきたんだ。
揺れる髪に,そんなことを思った。
「愛深」
やけにうるさくなる心臓を無視して,愛深に声をかける。
にも関わらず,反応は返ってこず。
俺はもう一度声をかけようとして,やめる。
愛深,なんかニヤついてる?
そして愛深がはっきりと顔をあげた時になって,俺はまた声をかけた。
「なんで無視するの,愛深」
「えっ」