恋と旧懐~兎な彼と1人の女の子~
「暁くんってばっ」

「……なに」



外に出たあともしつこい愛深に,俺は足を止めて振り返る。

こんなに暑いのに,ぐだくだしていたくない。

むっとした顔の愛深が,ツンと言う。



「お金,私ちゃんと払うよ」

「いらない…ほら,これ貰っていんでしょ? あと持ち帰りな」



俺はそれを気にも止めず,台紙から1つだけピンを抜き取ると,ポイっと愛深に残りのついた台紙をよこした。



「っと,でも!」



俺はキャッチしてぐらつく愛深の言葉を遮る。

それくらい,素直に受け取れば良いのに。



「うるさいめんどくさい黙って受け取れば? ……フラ○ペのお返しだとでも思っとけば良いでしょ」

「いやあれは奢りでっ返されるようなものでもないし。そもそも暁くんお金がかからないから来たんでしょ!? 意味なくなちゃうじゃん!」

「だったらこれも俺の奢り。お金がかからないのは理由の1つでしかないし,そもそもプラネタリウムの話だからそれ」
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