恋と旧懐~兎な彼と1人の女の子~
弘が絶対愛深繋がりだとと思ったんだよなぁと,けたけた笑う。
「あっそれつけてくれたんだ」
愛深は弘の言葉の意図なんてちっとも気づかない鈍感さを発揮し,嬉しそうに笑う。
俺ばかり気を揉んでいる気がして,もうどうでもよくなった。
けれどやっぱり納得いかなくて,八つ当たりに弘を睨めば
「揃いで買ったんだ。良いじゃん」
愛深の素直さに触発され,さっきまでの嫌な笑みは消え失せている。
それどころか,他所で見る数百倍優しげに見え,俺は理由の分からない不安感を覚えた。
「え!? 違うよ,ね! 暁くん!」
赤い頬の愛深の言葉が,俺に向けられる。
「……さぁ?」
顔ごとグリンと俺を見つめられても,もうどうでもいい。
そうしている間にも弘と愛深の攻防は続き,愛深がその場の流れを早口で説明する。
「なるほどね,セットだったの。お揃いより仲良さそうじゃん」