恋と旧懐~兎な彼と1人の女の子~
こうして二人を見ていると,どちらが仲いいのか分からなくなる。
……は?
何,俺。
友達が弘だけだから?
「やっだから違うってば! 悪のりしないでよ弘。暁くんが困るじゃん」
きも。
考えて吐きそうになる俺は,自分に安堵した。
…じゃあ,何。
「そう? 困ってんのお前だけじゃない? なぁ唯兎」
はっと小さく意識を戻し,弘を見る。
…なんの,話だっけ。
弘の目が,『何考えてんの?』 と語りかけてくる。
余計なお世話だ,と睨み返して。
自然にやってくるあくびを噛み殺しながら
「ふぁ,そうだね。そう見えるなんて最初から分かってるし……愛深はバカだから考えが及んで無かったみたいだけど。つけてきたってことは別に困んないってことでしょ」
俺はかすかに思い出した内容に,返事をした。
そう見られるだけなら,別に問題ない。
最初から関係のない人間達だから。