恋と旧懐~兎な彼と1人の女の子~
「んー」
めんどくさそうに,通行人に避けられる。
やっぱり。
幼馴染みって,男。
楽しそうな声のその子は。
ゆったりしてる服じゃなくて,時間かけましたって,オシャレって感じの服装をしていた。
首から左肩まで開いている,肩だしの薄い長袖で。
その黒い服は,首のところがチョーカーみたいになっている。
それから膝くらいの,茶色をベースにした黒のチェック柄スカート。
そして,底が白い,黒の厚底スニーカー。
服に合わせてか,頭にはお団子がきっちり纏まっていた。
それはどこをどうみても,愛深だった。
気のない返事をしたそいつは,愛深にバシッと肩を叩かれる。
弘を更に越える,遠慮のない叩き方。
「まずはイカ焼き!」
「イテーわバカ」
愛深は幼馴染みをぐいぐい引っ張って,楽しそうに前を進んで行った。
「わっ危なっ」
「…すいません」
俺はUターンして,1度通りすぎた唐揚げを買った。