恋と旧懐~兎な彼と1人の女の子~
何だか少し気分が良くて,俺はからかってやりたい気持ちになった。
なのに
「愛深さん,余ってるなら私も行ってもいい?」
明らかな邪魔が入って,その気持ちも冷める。
興ざめというか,なんと言うか。
これが萎える,と言うことなのかもしれない。
愛深がぱっと反応した。
その様子はもう落ち着ききっていて,俺は開いた口を静かに閉じる。
「えっあたしも~!」
ついでにもう1人出てきて
「えっあっ……えぇと」
さっきと違って全く面白くない戸惑いをしている愛深が目の端に映った。
さっさと断ればいいのに。
葛藤しているのが分かる。
俺は何かを期待するように,愛深の様子をじっと眺めた。
ふと,愛深が切なげな表情を浮かべる。
ちょっと,待って。