恋と旧懐~兎な彼と1人の女の子~
真ん中の女の子

これは──じゃない

冬が来た。

愛深も俺も相変わらずで,ほぼ毎日顔を合わせている。

話すのはやっぱり弘ばかりだけど,それも悪くない。

時間と共にあらゆる学校行事が過ぎて。

それでも愛深は離れることなく,楽しそうに笑っている。

たまに自分でも気付かず笑いが漏れて,その瞬間だけは何故か愛深も静かになった。

そして,本当にたまに。

何かを考えるように,俺を見ることが増えた。

何でだろう,言ってくれればいいのに。

探るような,心配そうな瞳に。

何を求めてるの? って,俺が聞きたくなるくらい。

でも,愛深がなにも言わないなら。

俺もなにも,言わない。

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