生存率0%


真紀は美咲が完全に乗り込んだことを確認して、エレベーターの中から顔を出し、琢真に向かって叫んだ。


「琢真!はやくっ!」


「わかってる!」



しかし、琢真はいきなり立ち止まった。



「何してるの!?琢真!」


「この人を放ってはおけない!」



そして、足が震えて立てない男の腕を、自分の肩にまわして立ち上がらせると、再びエレベーターに向かった。

男は力が全く入らないようで、思った以上に運ぶのが難しかった。



「…琢真!後ろ!」



真紀の悲鳴のような声が聞こえ、後ろを振り向くと、階段を昇りきった、『人』の群れが、こちらに向かって来るのが見えた。


いや…

正確にいうと、『人』ではなかった。


何かもっと……そう…、『魔物』のようなモノだった。



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