生存率0%
「…琢真!」
真紀が、今にも泣き出しそうな震えた声で叫んだ。
琢真は何も答えずに、男を支えながらエレベーターに向かい続けた。
後ろにいる人間の群れと、琢真達の距離は、まだ30メートルほど離れている。
一方、エレベーターまでの距離は、あと20メートル弱といった所だろうか。
《これなら行ける…!》
琢真が心の中でそう思い、安心した時だった。
【ズルッ―…】
男が気を失い、床に倒れてしまったのだ。
いきなりの出来事に、気を抜いていた琢真は、男と一緒に床に倒れてしまった。
それを見た人間達は、ニヤリと口元に微かな笑みを浮かべたような気がする。
人間達は、琢真達との距離を更に、更にと縮めていく。