生存率0%
琢真は、振り返らずに真紀に言った。
「真紀!扉を閉めろ!早く!」
『早く』の『く』を言い終えるか、終えない時、黒い筒は動き出した。
【ジュッー…】
琢真のすぐ耳元で、音がした。
「……!?」
違和感を覚え、耳に手をやると、さっきまでそこにあった物が無くなっていた。
代わりに、赤黒いドロッとしたものが、手にベッタリと付いた。
手に付いた赤黒い血を見た瞬間、琢真は痛みを実感した。
「ー…ってぇ!」
「琢真!!」
ちゃんと聞こえなかったが、真紀がおそらくそう叫んだ。
「は、早く!閉めろ!」
自分自身で言った言葉なのに、ちゃんと発音できた自信がなかった。