生存率0%
「愛してる。」
耳を失っている琢真は、自分でも、言えたかわからなかった。
しかし、最後に見えた真紀の口の動きが、
「あたしもだよ。」
と、言っているように見えたので、きっと伝わったのだろう。
エレベーターの扉が完全に閉まった瞬間、琢真は音のない世界で、静かに心臓を焼かれ、死んでいった。
意識が途絶える間際、頭に、真紀と過ごした思い出が浮かんだ。
口元を少し上げ、微笑むような顔で琢真は倒れた。
しかし無情にも、レーザーはその顔面さえも焼いてしまい、後に残ったのは、赤黒い血と焼け残った肉片だけだった。