300字の恋愛ものがたり
第10話:煙草
私の父は喫煙者だった。だが母が妊娠中に喘息持ちになり、私が生まれたこともあって禁煙した。
そのストレスを徐々にためていった父と、家事育児に疲れていた母はいつしか喧嘩が絶えなくなり、私が小学生の時に離婚。
母に似て喘息のある私は、煙草を吸う人とは付き合わなかった。結婚した夫もそう──だと、思っていたのだが。
「お義母さんに聞いたよ、私と知り合う前は凄いヘビースモーカーだったって」
「話すなって言っといたのに」
「大丈夫なの、無理してない?」
「してないよ」
「本当? だって私のお父さんは」
「知ってる。けど俺は親父さんじゃないよ?」
「……」
「煙草より大事な人のためなんだから、当たり前のことだろ」
「──ありがとう」
そのストレスを徐々にためていった父と、家事育児に疲れていた母はいつしか喧嘩が絶えなくなり、私が小学生の時に離婚。
母に似て喘息のある私は、煙草を吸う人とは付き合わなかった。結婚した夫もそう──だと、思っていたのだが。
「お義母さんに聞いたよ、私と知り合う前は凄いヘビースモーカーだったって」
「話すなって言っといたのに」
「大丈夫なの、無理してない?」
「してないよ」
「本当? だって私のお父さんは」
「知ってる。けど俺は親父さんじゃないよ?」
「……」
「煙草より大事な人のためなんだから、当たり前のことだろ」
「──ありがとう」