300字の恋愛ものがたり
第11話~
第11話:手袋とカイロ
「お疲れ」
「おう」
部活が終わった夕方。付き合い始めて1ヵ月の彼とは、毎日一緒に帰る。
「寒いね」
「手袋は」
「忘れちゃって」
というか、着けようとしたら穴が開いていたのだ。そんなになるまで使っていたのかと知られると恥ずかしいから、言わないけど。
ほら、と彼が唐突に渡してきたのは、使い捨てカイロ。
「持ってろよ」
「え、そしたらそっちが寒いじゃん」
「いいから」
「でも」
しばらく押し問答が続き。
「ああ、じゃあ、もう」
焦れたように言われ、カイロを持っていない右手を掴まれた。やや強めの力で。
「これでいいだろ」
顔を背けて彼は言う。……耳が赤いのは寒さのせい?
寒いのに顔と手がやけに熱くなる。私も、あさっての方を向いた。
「おう」
部活が終わった夕方。付き合い始めて1ヵ月の彼とは、毎日一緒に帰る。
「寒いね」
「手袋は」
「忘れちゃって」
というか、着けようとしたら穴が開いていたのだ。そんなになるまで使っていたのかと知られると恥ずかしいから、言わないけど。
ほら、と彼が唐突に渡してきたのは、使い捨てカイロ。
「持ってろよ」
「え、そしたらそっちが寒いじゃん」
「いいから」
「でも」
しばらく押し問答が続き。
「ああ、じゃあ、もう」
焦れたように言われ、カイロを持っていない右手を掴まれた。やや強めの力で。
「これでいいだろ」
顔を背けて彼は言う。……耳が赤いのは寒さのせい?
寒いのに顔と手がやけに熱くなる。私も、あさっての方を向いた。