至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-

「おーまじか。おれは手間が省けていいけどな。頑張れよ、宮名サン」



あっさりそう言って、ひらりと手を振ってみせる朱雀院様。


深いお辞儀に見送られながら、わたしはエレベーターに乗り込んだ。



シン……と静まる空間。

心臓の音が意識しなくても聞こえる。


70のボタンを押して、エレベーターが動いたのを確認してからそっと目を閉じた。


今が1階……2階……。

数えてみたところですぐわからなくなる。


地下から70階までをノンストップであがっていくってのいうのは、なんとも不思議な感覚だった。


足は床についてるのに心もとない。


もし全面ガラス張りだったら……と、現実にはあり得ないことを考えてぞくっとなったりもして。


まだかな……。


目を開けたとき、エレベーター上の数字の、「51」が光っていた。


ぽん……ぽん、と光が移動していく様子を目で追う。


65……66……67……。
< 135 / 309 >

この作品をシェア

pagetop