至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-
「おーまじか。おれは手間が省けていいけどな。頑張れよ、宮名サン」
あっさりそう言って、ひらりと手を振ってみせる朱雀院様。
深いお辞儀に見送られながら、わたしはエレベーターに乗り込んだ。
シン……と静まる空間。
心臓の音が意識しなくても聞こえる。
70のボタンを押して、エレベーターが動いたのを確認してからそっと目を閉じた。
今が1階……2階……。
数えてみたところですぐわからなくなる。
地下から70階までをノンストップであがっていくってのいうのは、なんとも不思議な感覚だった。
足は床についてるのに心もとない。
もし全面ガラス張りだったら……と、現実にはあり得ないことを考えてぞくっとなったりもして。
まだかな……。
目を開けたとき、エレベーター上の数字の、「51」が光っていた。
ぽん……ぽん、と光が移動していく様子を目で追う。
65……66……67……。