至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-
京様が戸惑うのも無理はない。
何か嫌なことをされたのならともかく、顔を合わせた瞬間に泣き出すなんて、ただ頭のオカシイ女。
恥ずかしい。
呆れられるかも。
気持ち悪がられるかも。
「どうした?」
「……ふ、ぅ、っぅ」
「怖かった?」
「違……います」
「どっか痛い?」
首を横に振る。
ぐす、ぐす泣き続けていると、痺れを切らした京様がエレベーターの中に入ってきてしまった。
「俺に言えないことか」
「………」
少しかがんで、優しい声音で尋ねられた。
漆黒の瞳が心をかき乱すから、秘めるつもりだった思いも簡単に溢れていってしまう。
「おかえりって、言ってもらえたから……」
「おかえり?」
「今までずっと、家に帰っても、……誰も言ってくれなかったから……、要らない存在だからしょうがない、けど」
「……あー……――なるほど、ね」