至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-
どくん、と心臓が動いた。
「そうだったんだね、すばる……。最初からそう言ってくれたら、お母さんもあんなに怒らなかったのに……」
ごめんね、と優しい声が耳に届いた。
「飛鳥井さんにあんな風に言ってもらえるなんて、すばるはすごいねえ。お母さんも嬉しいな……ずばるは自慢の娘だよ」
あんなに乾いていた心が……その言葉一つで、いとも簡単に満たされる。
嘘なのに。
飛鳥井くんがわたしを助けるために吐いてくれた嘘なのに……。
それでも、ずっと欲しかった言葉だから。
たとえ偽物でも、嬉しいと思ってしまう……。
「それで……よければ、なんですが」
飛鳥井くんの目はお母さんを捉えていた。
「今後も、すばるさんをウチに預けていただけないでしょうか」
「え? すばるを……ですか?」
お母さんと同様、わたしも驚いて飛鳥井くんを見る。
その口からこぼれたのは
「はい。使用人として、ではなく──僕の婚約者として」
……まったく、予想もしていなかったセリフだった。