至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-

どくん、と心臓が動いた。


「そうだったんだね、すばる……。最初からそう言ってくれたら、お母さんもあんなに怒らなかったのに……」


ごめんね、と優しい声が耳に届いた。



「飛鳥井さんにあんな風に言ってもらえるなんて、すばるはすごいねえ。お母さんも嬉しいな……ずばるは自慢の娘だよ」



あんなに乾いていた心が……その言葉一つで、いとも簡単に満たされる。


嘘なのに。

飛鳥井くんがわたしを助けるために吐いてくれた嘘なのに……。


それでも、ずっと欲しかった言葉だから。

たとえ偽物でも、嬉しいと思ってしまう……。



「それで……よければ、なんですが」



飛鳥井くんの目はお母さんを捉えていた。



「今後も、すばるさんをウチに預けていただけないでしょうか」

「え? すばるを……ですか?」



お母さんと同様、わたしも驚いて飛鳥井くんを見る。


その口からこぼれたのは



「はい。使用人として、ではなく──僕の婚約者として」



……まったく、予想もしていなかったセリフだった。

< 259 / 309 >

この作品をシェア

pagetop