至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-
安堵して、視線を戻した――直後。
「おねーさん、聞きたいことあんだけど、ちょっといーか?」
「っ!!」
目の前に人が立っていた。
3人。
その人たちは全員黒いワイシャツを着ていて、風貌からするに、“道を聞きたい”とか、そんな可愛い要求じゃないのは明らかで。
だけど、背中に冷たい汗が伝う前に、手首を掴まれてしまう。
「龍泉閣に行きてえんだ。案内してくれねえか?」
「っ!」
どうしよう、こんな怖そうな人たち……。
龍泉閣に行きたいっていったいなにが目的なの……?
「おい、聞こえてんの?」
びくっと肩が震える。
龍泉閣の場所を知らない人なんていない。
なんせ街で一番高い建物で。今この位置からでも、そびえたつそれが見える。
「今までは滅多に表に出てこなかった京が、今は毎日のように龍泉閣に帰ってるってウワサを聞いたんだ」
――ばくん、と痛いくらいに心臓が反応する。
「なあ、オレたち龍泉閣に行きてえんだ。京サマに世話になったやつがいて、ちょっとあいさつしたくってよ」