至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-
――ビーッ!
背後からクラクションが飛んできた。
この狭い路地に不釣り合いな、黒塗りの高級車。
見覚えのあるソレにはっとする。
「通行の邪魔だ、どけ」
容赦のない冷たい声とともに下りてきたのは朱雀院様。
わたしを囲んでいた3人は、その姿を見た瞬間に慌てたように身いた。
瞳が怯えている。
「お前たち、“アノ案件”で世話になったやつらだな。最近、龍泉閣の周りを嗅ぎまわってるようだが……」
朱雀院様が彼らをまんべんなく見つめる。
「よっぽど死にたいみてえだな? “あいつ”みたいに、体に穴、開けられたいか?」
すごみのある声は、わたしに向けられたものじゃないのに戦慄してしまう。
彼らが一目散に逃げていったあと、朱雀院様はわたしの手を掴んだ。
「あ、あの、あり――」
「この馬鹿。迎えの車無視して、ひとりで勝手に帰ってんじゃねえよ」
「ひゃ……」
無理やり車の中に押し込められた。
車は龍泉閣へと出発する。
無言の車内。
龍泉閣につくまで、わたしはずっと、別れの切り出し方考えていた。