至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-
底の見えない深い深い漆黒。
なんの感情も映さない冷えきった瞳。
いつも感じる、畏れよりも先に。
よく知ったその瞳に、今日だけは安心感すら覚えた。
ああ、……これでこそ京 静日だ。
楽しいことが好きだと言いながらも、本当に楽しそうに笑うのを見たことはなかった。
笑っていたとしても、全部、仮面を見ているかのようだった。
恐らくこの男は、人として当たり前の感情を抱けないのだと思っていた。
欠陥だらけの心は、普通の人間なら短所として捉えられるが、静日の場合は違う。
何も映さない漆黒は、恐怖によって人を従える力を持っている。
それは権力に直結する力。
皇帝になるべくしてなった男だけが持つ力。
静日は己の瞳を、呪いだと言っていた。