至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-
すごい偶然だ……。
偶然として片付けられないくらい、すごいめぐり合わせ……。
どきどきして、手も少し震えた。
やだな、静日くんのこと、忘れるって決めたのに……。
「おや、もう休み時間が終わってしまうね。付き合わせて悪かったよ」
「とんでもないですっ。お話聞かせてくださってありがとうございます!」
「宮名さんは、静日くんのことが好きなのかな」
「は、……い。でも、どうせ叶わないから……」
「静日くんはああ見えて臆病なところもあるからね。でもそれ以上に優しい子だから、気持ちを伝えれば、きっと彼なりの言葉で返してくれるはずだよ。がんばってほしいな」
「……っ」
喉の奥がぎゅうっと狭くなった。
何も返せないまま、チャイムの音を合図に席を立つ。
高鳴る胸を抑えながら、わたしは美術室をあとにした。