至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-
背後から気配もなく声がかかって、一瞬にして体がこわばった。
かちっとしたスーツを着た男の人。
歳はだいぶ上に見える。
龍泉閣の人かな……。
「宮名様、ですか?」
「っ、はいそうですすみません……っ」
「静日様からお話は伺っております。どうぞこちらへ」
じろり、品定めをするかのような視線に怯んでしまう。
なんでこんなヤツが、とでも言いたげ。
促されてもすぐには足が動かなかった。
だけどそこで、ふと思いつく。
わたしは、今夜、学生証を持って龍泉閣に来いって言われただけ。
──京様に“会いに”来いと言われたわけじゃない。
……約束は、すでに果たした、のでは……?
「あの、これ……を」
「はい?」
「京様の、学生証をわたしがお預かりしてまして……っ。代わりにお返ししていただいてもよろしいでしょうか!」