至高の冷酷総長は、危険なほどに彼女を溺愛する -CLASSIC DARK-
「ていうか、すばるまだ来ないの何。道にでも迷ってる?」
……こういう風に、今日会ったばかりの女を下の名前で呼んでいることも、まだ信じられない。
そもそも……。
──『ねえ、お前名前なんてゆーの』
静日が、自ら名前を尋ねた人間は初めてだ。
あのとき耳を疑った。
長年の付き合いを経てようやく理解った気になっていたところで、
おれの中の京静日という常識がまた壊されてしまった。
「やっぱ門番なんかに任せんの不安だな。俺が出て行ったらだめ?」
「だめに決まってんだろ! 立場を自覚してくれ頼むから」
「はあ〜うっざ」
言葉こそ軽いものの、冷えた目で見つめられびくりとする。
ちょうどそのタイミングで、部屋の扉が3回音を立てた。
「──静日様。安藤でございます」
静日の視線が扉へゆっくりスライドする。