人助けをしたら人気俳優との同居が始まりました
8
「俺は、これからは一生カナと一緒にいたいと思ってる。正式にするのはまだ先になるけど、とりあえず今は俺がそう思ってるってことだけは覚えといて」
「……本当に、私でいいの?」
数日前に消したはずの不安が、また顔を出してくる。
彼は今や幼馴染みの内山太郎である前に、人気俳優の山内蓮なのだ。
もっと綺麗な人も、芸能人という特殊な仕事の大変さを理解してくれる人も、太郎の周囲にはいくらでもいるはずだ。
そんな人の相手が、平凡な自分でいいのだろうか。
「カナ、また不安になってるだろ」
「だって……」
「何度も言うように、俺はカナが好きなの。天真爛漫で、一緒にいて退屈しないカナに一生そばにいてほしいの。分かった?」
「うん、分かった。自分を信じるって決めたのに、ごめんなさい」
「分かればよろしい。でも、俺と付き合うことで多少は迷惑がかかるかもしれないから、それは謝っとく」
迷惑の意味が分からず、怪訝な表情で太郎を見る。
「俺と一緒にいることで、写真週刊誌に追いかけられる可能性は、なくもない。まあカナは一般人だから、カナだけが追われることはないと思うけど。でも俺は、何があってもカナを手放すつもりはないから」
その言葉に、太郎が有名人であることを改めて思い知る。
ただ、それを恐れて太郎と別れるという選択はできない。
太郎を手放すことができないのは、叶恵も同じなのだ。
「ねえ、カナ。明後日、デートしよう。普通の恋人みたいに、堂々と手をつないでさ」
「そんなことしていいの?」
「ちょっと賭けをしてみたくなった。もしもそれがマスコミにバレたら、カナと付き合ってるってことを公表する。いい?」
「太郎くんはそれでいいの? 公表したらまずくない?」
「全然。交際禁止のアイドルじゃないし、むしろ堂々と公表した方が、ヘンに追いかけられなくて済むと思うし」
公表しようがするまいが、マスコミの関心は太郎に向けられるもので、一般人である自分には関係ないだろう。
それなら太郎の判断に任せるべきだ。
「マスコミに追いかけられるのは太郎くんだから、太郎くんが決めていいよ」
「ありがとう。じゃあ、もしもバレた時は公表させてもらうね。でもカナも、いちおう覚悟はしといてね。俺が追いかけられるってことは、一緒にいた時はカナも追いかけられるってことだから」
「うん、覚悟はしておく。でも私はどちらかというと、マスコミよりも山内蓮ファンの方が怖いかな」
冗談めかして言うと、太郎にギュッと抱きしめられた。
「大丈夫だよ。そのへんはアイドルとは違うし。だから安心して」
「うん。……ねえ。ひとつだけ、私のわがまま聞いてくれる?」
「いいよ。俺にできることなら何でも聞いてあげる」
叶恵は顔を上げ、太郎の澄んだ瞳をまっすぐに見つめる。
「一歩外に出たら、太郎くんは山内蓮でいなきゃいけないことは分かってる。でも、私といるときは内山太郎でいてね。私だけの太郎くんでいてね」
「カナ……」
何かを堪えるように名前を呼ばれると同時に太郎の荒々しいキスで唇を塞がれ、鎮まっていた官能が再び呼び戻される。
「んっ……、ふっ……」
食らい尽くすような勢いで口腔内をむさぼられ、昂ぶらされる。
やがて銀糸をつないだまま離れていった太郎の瞳には、獣のような獰猛な色が灯っていた。
「カナはホント、俺を煽る天才だな」
「え? 何が?」
「分からないならそのままでいいよ。俺はそんなカナをいじめるだけだから」
「だからどうして?」
「あのねぇ。そんなにかわいいことを言われてオヤスミって言えるほど、俺は聖人君子じゃないよ? とりあえず、もうしばらくは寝かせてあげられないから、自業自得だと思って諦めて俺に付き合ってね」
「そんなっ……」
静止の言葉はキスでかき消され、再開された濃密で淫猥な愛撫に、叶恵はなすすべもなく明け方近くまで啼かされ続けた。
「……本当に、私でいいの?」
数日前に消したはずの不安が、また顔を出してくる。
彼は今や幼馴染みの内山太郎である前に、人気俳優の山内蓮なのだ。
もっと綺麗な人も、芸能人という特殊な仕事の大変さを理解してくれる人も、太郎の周囲にはいくらでもいるはずだ。
そんな人の相手が、平凡な自分でいいのだろうか。
「カナ、また不安になってるだろ」
「だって……」
「何度も言うように、俺はカナが好きなの。天真爛漫で、一緒にいて退屈しないカナに一生そばにいてほしいの。分かった?」
「うん、分かった。自分を信じるって決めたのに、ごめんなさい」
「分かればよろしい。でも、俺と付き合うことで多少は迷惑がかかるかもしれないから、それは謝っとく」
迷惑の意味が分からず、怪訝な表情で太郎を見る。
「俺と一緒にいることで、写真週刊誌に追いかけられる可能性は、なくもない。まあカナは一般人だから、カナだけが追われることはないと思うけど。でも俺は、何があってもカナを手放すつもりはないから」
その言葉に、太郎が有名人であることを改めて思い知る。
ただ、それを恐れて太郎と別れるという選択はできない。
太郎を手放すことができないのは、叶恵も同じなのだ。
「ねえ、カナ。明後日、デートしよう。普通の恋人みたいに、堂々と手をつないでさ」
「そんなことしていいの?」
「ちょっと賭けをしてみたくなった。もしもそれがマスコミにバレたら、カナと付き合ってるってことを公表する。いい?」
「太郎くんはそれでいいの? 公表したらまずくない?」
「全然。交際禁止のアイドルじゃないし、むしろ堂々と公表した方が、ヘンに追いかけられなくて済むと思うし」
公表しようがするまいが、マスコミの関心は太郎に向けられるもので、一般人である自分には関係ないだろう。
それなら太郎の判断に任せるべきだ。
「マスコミに追いかけられるのは太郎くんだから、太郎くんが決めていいよ」
「ありがとう。じゃあ、もしもバレた時は公表させてもらうね。でもカナも、いちおう覚悟はしといてね。俺が追いかけられるってことは、一緒にいた時はカナも追いかけられるってことだから」
「うん、覚悟はしておく。でも私はどちらかというと、マスコミよりも山内蓮ファンの方が怖いかな」
冗談めかして言うと、太郎にギュッと抱きしめられた。
「大丈夫だよ。そのへんはアイドルとは違うし。だから安心して」
「うん。……ねえ。ひとつだけ、私のわがまま聞いてくれる?」
「いいよ。俺にできることなら何でも聞いてあげる」
叶恵は顔を上げ、太郎の澄んだ瞳をまっすぐに見つめる。
「一歩外に出たら、太郎くんは山内蓮でいなきゃいけないことは分かってる。でも、私といるときは内山太郎でいてね。私だけの太郎くんでいてね」
「カナ……」
何かを堪えるように名前を呼ばれると同時に太郎の荒々しいキスで唇を塞がれ、鎮まっていた官能が再び呼び戻される。
「んっ……、ふっ……」
食らい尽くすような勢いで口腔内をむさぼられ、昂ぶらされる。
やがて銀糸をつないだまま離れていった太郎の瞳には、獣のような獰猛な色が灯っていた。
「カナはホント、俺を煽る天才だな」
「え? 何が?」
「分からないならそのままでいいよ。俺はそんなカナをいじめるだけだから」
「だからどうして?」
「あのねぇ。そんなにかわいいことを言われてオヤスミって言えるほど、俺は聖人君子じゃないよ? とりあえず、もうしばらくは寝かせてあげられないから、自業自得だと思って諦めて俺に付き合ってね」
「そんなっ……」
静止の言葉はキスでかき消され、再開された濃密で淫猥な愛撫に、叶恵はなすすべもなく明け方近くまで啼かされ続けた。