夏がくれた奇跡
*
あれは高校一年生の七月なかば。夏休みが近づいて、誰もが浮かれ出すころだった。
その日、俺が学校に着いてすぐ下駄箱の扉を開けると、ひらっと一枚の紙が落ちてきた。
『今日の放課後、体育館裏で待ってます。相川さくら』
漫画の展開にありそうなベタな告白の呼び出し。その相手は入学早々美人だと有名になった相川さくらだった。
周りにいた奴らに茶化されたが、嫌な気分はしない。自然と口元が緩んで、さらに冷やかしを食らう羽目になった。
そして放課後。俺は早まる鼓動を抑えながら、指示通りに体育館裏へ向かう。
まだ彼女は来ていないようだった。人を待っているときにスマホを触るのもどうかと思い、なんとなく天を仰ぐ。
──見上げた雲ひとつない青空は、どこまでも澄み切っている。
あれは高校一年生の七月なかば。夏休みが近づいて、誰もが浮かれ出すころだった。
その日、俺が学校に着いてすぐ下駄箱の扉を開けると、ひらっと一枚の紙が落ちてきた。
『今日の放課後、体育館裏で待ってます。相川さくら』
漫画の展開にありそうなベタな告白の呼び出し。その相手は入学早々美人だと有名になった相川さくらだった。
周りにいた奴らに茶化されたが、嫌な気分はしない。自然と口元が緩んで、さらに冷やかしを食らう羽目になった。
そして放課後。俺は早まる鼓動を抑えながら、指示通りに体育館裏へ向かう。
まだ彼女は来ていないようだった。人を待っているときにスマホを触るのもどうかと思い、なんとなく天を仰ぐ。
──見上げた雲ひとつない青空は、どこまでも澄み切っている。