夏がくれた奇跡
 緊張を抑えようとふぅ、と息をついたとき、突然カシャッとカメラのシャッター音がした。


「……っ!?」

「あ、こんにちは」


 彼女はどこからともなく現れ、カメラを持ったまま笑顔を浮かべていた。


 美人だ。俺が想像していたよりも遥かに美しい。


 まるで本の中から出てきた女神のよう、と言う考えはすぐに打ち消された。


「写真いります? 今撮ったんですけど、我ながらいい出来なんですよ!」

「…………」

「さすが私。こんなに君を上手く撮れるのたぶんこの学校で私だけだよね」

「…………」

「聞いてる? え、死んだ!? 生き返って!」
 

 ぐらぐらと俺の体を揺らすさくら。俺はただこの超変人と超美人が合わさった〝超変美人〟的存在を前にして、言葉が出てこなかっただけだ。


 超変美人というネーミングセンスについては何も言わないでいただきたい。彼女に感化されたのか俺も頭が少し、おかしくなっているようだから。


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