独占欲強めな御曹司は、溢れだす溺愛で政略妻のすべてを落としてみせる

 思わぬ暴露話に、にやにやと頬が緩むのを抑えられない。焦った奏一にはその微笑ましいエピソードを忘れて欲しいと言われてしまうが、とても忘れられそうにない。

 昔はいじわるをされたりからかわれたり、大人になってからは文句を言われることもあったから、てっきり嫌われているとばかり思っていた。

 しかしそこに可愛い独占欲があったのかと思うと、急に奏一を愛おしく感じてしまう。実は小さな恋心の裏返しだったのだと教えられれば、今さらながらにキュンとしてしまう。

「奏一さん、そんなに私のこと好きだったの?」
「うん、そうだよ」

 だから結子もからかおうと思ったのに、これには結子の方が思わぬ反撃を食らった。秒速で返答する奏一に、動きが止まってしまう。表情が強張ってしまう。

「当たり前でしょ。俺、昔も今も結子の事しか見てないもん」

 さらに続けられた恥ずかしい言葉に、結子は照れて俯くしかない。その姿に『ほら、可愛い』と頷く奏一を黙らせる言葉も思いつかない。二人のやりとりを微笑ましい目で見つめる響一の笑いも止められそうにない。

「何? 照れてるの?」
「照れてないです!」
「……仲いいな、お前たち」

 政略結婚から始まった二人は、今もまだとろけるような蜜恋の真っ最中だ。


  ―― Fin*

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