独占欲強めな御曹司は、溢れだす溺愛で政略妻のすべてを落としてみせる
「ハンドマッサージ。やり方教えてもらったんだ」
「ほえー……。気持ちいい……」
力そのものは、いつもの優しい触れ合い方よりもかなり強めだ。けれど痛みを与えるためではなく、凝り固まった筋肉や皮下組織を揉みほぐし、動きが鈍くなった関節を動かし、指先に溜まった老廃物を身体の中心に向かって押し流す……そんなイメージで触れられている。なるほど、確かに『ハンドマッサージ』だ。
「むくみも取れそう。……奏一さん、手あったかい」
「でしょ」
ぐいぐいと筋肉を押される心地よさに、素直な感想をぽつりと呟く。
結子の手を包み込む彼の手は驚くほどに温かい。それに奏一の体温だけではなく、結子の手も普段使っていない筋肉や皮膚がどんどんと活性化されて、眠っていた身体が目覚めたように熱を持っていく気がする。
「結子に合いそうなハンドクリームも買ってきたんだ」
「ええっ……用意周と……。準備いいね?」
「結子に少しでもリラックスして欲しくて」
奏一が一通りのマッサージを終えると、ベッドの傍に置いてあった小さな紙袋から綺麗なパッケージの細長いチューブを取り出す。それが結子も知っている海外のボディケアブランドのハンドクリームだと知り、ちょっと驚いてしまう。