独占欲強めな御曹司は、溢れだす溺愛で政略妻のすべてを落としてみせる

「響一くんの結婚も嬉しいお話ですね。この度は本当におめでとうございます」
「ははは、ありがとう佐山君。式は少し先だが、本人もやるつもりだと言ってるからね。君もぜひ顔を出してやってくれ」
「ええ、もちろんです」

 ショックを受ける結子に、更なるショックが襲う。

(お父さん……知ってたの!?)

 なんと父は響一が結婚したことをちゃんと把握していたらしい。驚かないばかりか、響一くんの結婚『も』嬉しい、だなんてあっさりと口にする。会話に口を挟まずににこやかな笑顔を浮かべる姿を見るに、きっと母も知っていたのだろう。

(それならそうだって教えてよ……! 私、相手がこの男だって知ってたら、今日ここに来なかったわよ!?)

 怒涛の衝撃展開に結子の心の中には大嵐が吹き荒れる。ただしそれを口にしてしまうと文句のオンパレードになってここにいる全員を責めてしまいそうな気がしたので、理性で口に封をする。

 顔は相変わらず引きつったままだが、全員こちらを見ていないので誰も結子の困惑には気付きもしないだろう。

「というかお前、響一が結婚するまで自分は結婚しないつもりだったのか?」
「ええ、まあ。双子といっても兄は兄なので。順番は守るつもりですよ」
「ほう、奏一くんは兄想いだな」
「恐縮です」

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