独占欲強めな御曹司は、溢れだす溺愛で政略妻のすべてを落としてみせる
浅いまどろみの中でうとうとするこの時間が一番気持ちいいのに、奏一の指遣いは小さな幸福を一瞬で吹き飛ばす無粋な行為だ。むうっと頬を膨らませて、いたずらを止めない夫を睨む。
しかし上体を起こして奏一の姿を確認してみると、シーツに頬杖をついて結子の寝顔を眺める彼の上半身は裸。ハッとして視線を下げると、当然のように結子も裸。しかも結子は上半身だけではなく下半身にも何も身に着けていない。正真正銘の全裸だった。
あれ? と奏一の顔を見つめて、ぱちぱちと瞬きをしてしまう。その表情を見た奏一がカーテンの隙間から零れる光を浴びながら、
「朝から可愛いなぁ」
とクスクス笑う。妖艶でいじわるな笑顔が深みを増す。
おそらく奏一も何も穿いていないのだろう。気付いて硬直した結子の手首は彼の手に捕まり、そのままグイッと引っ張られる。さらに頬杖をしていた腕に裸の身体を抱きしめられ、近付いたつむじの中央にキスを落とされる。
「結子。ほら、ここ触って……?」
「な……なにす……ん!」
奏一は結子の手を自分の下腹部に引き寄せ、股の間に触れさせようとする。
結子はそこに指が触れてしまわないよう咄嗟に手を引っ込めようとした。だが奏一は意外と力強く、二人の動きはその場でぐぐぐ、と拮抗してしまう。しかし余裕の表情でにこにこ笑う奏一に対し、結子は全力だし必死だ。
「ほら、結子昨日コレであんなにいっぱい啼」
「ちょっとおぉ!? 変なこと言わないでッ……!」