独占欲強めな御曹司は、溢れだす溺愛で政略妻のすべてを落としてみせる

8. 花に埋もれて


「わぁっ……すごく綺麗! イメージ通り……ううん、思ってたより豪華で華やかに見えるわ!」
「よかったな」

 ドレスとタキシードに着替える前の花嫁と花婿から称賛の声を受け、結子もほっと胸を撫でおろす。

 イリヤホテル東京エメラルドガーデンには、パーティ会場となるホールやテラス、貸し切りレストランなどが合わせて五つ存在する。今日の会場はそのうちの二番目に小さいホールで、教会式の挙式もレースや造花を併用した装飾が多かった。

 だから結子がそのすべてを一人で担当しても、時間ギリギリでどうにか間に合わせることが出来た。ホテルのスタッフにも高所の装飾やテーブル添花の配置調整を手伝ってもらえたので、それも大きな要因になったと思う。

「本日は急遽担当が変わりまして、大変申し訳ございませんでした」

 結子がこれから晴れ舞台に臨む花嫁と花婿に向かって一礼すると、二人はさほど気にした様子もなく『いいのいいの~』と笑ってくれた。どうやら会場の飾りつけをちゃんと気に入ってくれたらしい。

「パーティ中にブーケや装花等で気になる点がございましたら、スタッフを通してお声かけ下さいね」
「うん、ありがとう!」
「本日は本当におめでとうございます」

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