恋のチャンスは3日間
2日目。え?泊まるの?
眠ったのは一瞬のようだった。

だけど違うみたい。

部屋に日の光が射し込んでいる。

今、何時?

・・・あれ?郡司さんがいない。

隣に眠っていたはずの郡司さんがいない。

ああ、やっちゃったのか。

そんな気持ちが先にきて、泣きそうになった。

もう、帰っちゃったのかも。

だけど、部屋にコーヒーの香り・・・。

体だけキッチンの方に向けると

「お、起きた?おはよう」

ああ、郡司さんだー。

「簡単な朝御飯作ったんだけど、食べる?」

「おはようございます・・・はい。いただきます」

ゆっくり体を起こす。

「顔洗ってさっぱりしておいで」

優しい笑顔。

良かった。いつもの郡司さんだ。

コクンと頷いて、洗面台に向かう。

顔を洗って歯を磨いて、昨日の夜からずーっと素っぴんだったことに気がついて青ざめて。慌てて薄く下地だけ塗った。
・・・手遅れ感満載。

キッチンに向かうと、朝食を用意してソファーも元通りに直してくれていた。

・・・さすが。仕事が早い。

「食べよう」

郡司さんに誘われるがまま、ソファーに腰を下ろす。

「勝手にキッチン使ってごめんな」

郡司さんがすまなそうに謝る。

「いえ、全然。私こそ寝坊して郡司さんに用意させてしまってごめんなさい。いただきますね」

パンをちぎりながら言う。

「いや・・・ああそうだ、充電器貸してもらってる。床に落ちてたから」

「あ、はい。気がついてもらって良かったです」

「それと・・・・その、腕いたくない?」

ぷはっ。

「あ、ああ、だ、大丈夫です・・・」

その話題振ります?

「悪かったな」

「いえ、こちらこそすみません。勝手に隣に寝ちゃって・・・」

恥ずかしいー。

「いや、俺が離さなかったんだろ?たまにやるみたいだから。無意識なんだけど。嫌な思いさせて悪かった」

「え、いえ、とんでもないです。別に嫌でもなかったですし。私もなんだかすぐに寝ちゃったみたいですし・・・」

あれ?なんか変なこと言ってる?

私は好きな人と一緒に眠ることができたから、幸せだったけど、それを知らない郡司さんにとってこの返事ってどうなの??

あれ?私もしかして告白した?
え?あれ?

「そうか・・・」

私の言葉を聞いたまま郡司さんはなにも言わなくなった。

口がカラカラで食べたパンがうまく飲み込めない。

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