恋のチャンスは3日間
「意外だな。森下アクションとかみるの?」

「はい。弟が好きで良く映画に連れて行かれるんですけど、アクションかミステリーかアニメばっかりで。でもみさせられているうちにハマっちゃって。今ではアクションは欠かせなくなってるんです」

「なるほど。女の人だから恋愛系みるのかと思ってた」

「あ、もちろん恋愛系も嫌いじゃないですよ。郡司さんはコメディですね」

「うん、やっぱり笑いは大事だよな」

うんうん、と頷く郡司さんをみて笑ってしま
う。・・・かわいい人だな。

・・・あああ、もういやだー。
これ以上惚れさせてどうするんだろうこの人。

気を落ち着けて、映画をみよう。
そうしよう。

それから映画に夢中になって、ほぼ話をしないまま2本の映画を見終わった。

「面白かった」
「はい、面白かったです」

「食べるの忘れるな。これ」
「ですね」

「ちょっと中休みで、音楽でも聞きながら話するか」

「はい。結構頭がいっぱいいっぱいです」

「わかる。俺も。観てもあと1本で限界だ」

「はい。私もです」

音楽をかけたけど、映画を見終わったあとのちょっとした放心状態で、2人ともしばし無言。食べて飲んで、少し落ち着いたところで映画談義。

全く色気なし。
最後の映画をみる前に、ソファーをベッドの形にする。
「観てる間に寝ちゃうかもだから」
・・・わかります。
それこそがソファーベッドの醍醐味なのです!観ながら寝ても大丈夫。
私もそこが気に入っているんです!と力説。

郡司さんは笑っていた。


最後の1本は郡司さんのリクエスト。
知らない題名。
「これでいい?」

「はい。いいです」

その10分後。
あれ?この映画ってまさか。
まさかね?

その20分後。

ぎゃーーーーーー。
失敗したーーーーーー。
ホラーだったーー。
いーーーーやーーーー。
ホラーだけは観ないんだよーーー。
こーーーわーーーーいーーーー。

顔は平静をよそおいつつ。
心のなかで叫びまくっていた。

もう、今日眠れない。
いやだー。

後半に差し掛かった頃、心がホラーに撃沈。
もう・・・ダメだ・・・。

怖すぎて涙目になっている。

「森下?」

私の異変に気がついたのだろうか、郡司さんがこちらを見る。

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