恋のチャンスは3日間
「え?郡司先輩彼女いますよね?」

野村・・・それいつの情報?
俺、4ヶ月くらいもうフリーなんだけど。
最後に付き合った女にちょっと言われてから、軽く付き合えなくなった。

「ああ、取引先で出会った・・・名前なんだっけ?田中?鈴木?」

俺の話続けるのか。
別に今さらだから構わないけど。

「田中 歩海≪たなか あゆみ≫な。4ヶ月前に別れた・・・って言うか振られた」

「また?」

また言うな。

「え?郡司先輩が振られるんですか?振るんじゃなくて?」

そんなに驚くことか?

「そうなんだよ。亮平は告白されて付き合うくせにいつも振られんだよ」

まも、俺が答える前に言うなよ。

「なんで?」

「「重いって」」

俺とまもの言葉が重なる。

「・・・意外ですね」

「だろ?」

「・・・重いって何が重いかわかんねーわけではないけど、この前振られたときに言われた言葉にちょっと納得したわ」

「重い以外になにか言われたのか?」

「いや、重いがどんなのかを言われた」

「ほうほう」

興味あんのか?こんな話しに。

「あのね、私はね周りから付き合うと亮平って重いよって言われてたのね、でもね知ってたから亮平が重いの。大丈夫って思ってたのね」

俺の口ぶりに、呆れた顔で聞いてくる。

「それってその彼女の話し方の真似?」

「そうだよ」

「俺、今の話し方聞いただけでアウトだわ」

「うっせ。で、私はね、100キロくらいの重さなら持てるって思ったのね、でも亮平の重さ1トンだったー、だから無理ー。ばいばーい。だってさ」

2人ともポカーン。て顔してんな。

「・・・どんな恋愛してんだよ。それ会って言われたの?」

「電話。でも何となく納得した」

「かるっ。しかもそんな別れかたで納得?」

「だって、3週間しかつきあってねーもん」

「それ、付き合ってるって言えんの?」

「え?でも俺、いつもこんなんだぜ?長くて半年」

「なあ、それって相手の事本当に好きだったのか?」

「ああ・・・多分?それなりに?・・・嫌いではない。顔好みだったし」

「多分って。顔って。いつも思うけど、そんなんだからほんと亮平の恋愛心配だわ」

「そうか?」

「ちゃんと人を好きになれよな」

「・・・うん」

俺なりに好きになれそうだから付き合ったんだけど、なにか間違ってんのかな?

「すみません、俺言ってる意味がちょっとわかるようでわからないんですが・・・なんでこんな人をあいつは思い続けてんだ・・・」

頭悪いな、野村。
しかも最後の方、よく聞き取れなかったけど俺の悪口だろ。

「重いって話し?それとも亮平の恋愛観?」

「重いって方です」

「重い方だって、亮平」

説明は俺がするのか。

「ああ、だからな。野村今、・・日本酒飲んでるだろ?・・・・渋いな」

「あ、はい。日本酒好きなんです」

「まあいいや。で、今おちょこで飲んでるわけだ」

「はい」

「それがコップになってもまだ飲めるな?」

「はい」

「じゃあ、ジョッキできたら?」

「まあ、なんとか飲めますね」

「で、特大ピッチャーで出てきたら?」

「・・無理ですね」

「そう!それ。俺は特大ピッチャーだったわけだ」

「なるほど・・・それは無理だな」

野村に説明してんのに何でまもが納得する・・・。

「で、ばいばい」

まもがビールを飲み干して、聞く。

「ってことは、だ。特大ピッチャーを飲める女じゃないと、亮平とは付き合えねーってことか?」

「ま、そうだな」

「いないんじゃね?」

「・・・マジ悩んでんだから、確信付くなよ」

そう、こんな感じでいつも振られるから、もう彼女作らないようにしてたんだけど、さすがに寂しいんだよ。

酔いがだいぶ回ってきた。

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