恋のチャンスは3日間
「なあ、ちょっとわがまま言って良い?」
こんな身勝手なわがまま聞いてくれるのだろうか。
「もう一泊しても大丈夫かな?」
「え?」
そりゃ驚くよな。
「いや、もちろん、森下が嫌でなければの話なんだけど・・・」
少しの間の沈黙。
頼む。いいよって言って。
隣にいる森下を見ると、なにか考えている。
だめって言われたら帰らなくちゃいけない。
初めて感じた愛しいと言う感情を、そばにいてもう少し確かめたい。
「・・いいですよ。特になにもないですし、大丈夫です」
森下の返事にホッとしたように力が抜ける。
よかった。
マジでよかった。
「ありがとう。じゃあ後で買い物に行きたいから、付き合ってくれるか?」
「はい、わかりました」
その後2人で朝食を食べて、準備をすると買い物に出掛けた。
買い物は楽しかった。
あれがいい、これはどう?なんて言いながら、 森下の好みをチェックしつつ、俺の好みも知ってもらいたくて、口数がいつもより多くなっているような気がする。
お昼は移動販売の車を見つけて、ホットドッグを食べた。
帰りは少し遠回りをして、森下に質問しながら、おしゃべりを楽しんだ。
森下は俺が言うことを「うんうん」と笑顔で聞いてくれて、ちょっとボケると突っ込んでくれたり。
手を繋いで歩きたかったけど、さすがに引かれるかなっと思ってできなかった。・・・ヘタレだ。俺。
夕飯の買い物をしているとき、ああ、森下と付き合ったら、こんなに優しい時間がいつももらえるのか。と考えて、今の時間がずっと続けばいいのに・・・と、柄にもないことを思ってしまった。
なんで俺、こんなに変わったんだろう。
俺、こんなんじゃなかったのに。
そして一番戸惑うのは、いつも抱き締めたくてしょうがなくなること。
あの温かくて柔らかい感触を味わいたい。
ヤバイ。
これは重症だ。
でも、気持ちよかったんだよなあ。
・・・今日もう一回できるかなあ。
そんなことばかり考えていたら、買い物は終了。
しまった!もっと楽しめばよかった。