恋のチャンスは3日間
ああ、郡司さんが家のお風呂に入ってるとか・・・ありえんの?こんな夢みたいなこと。

「俺に感謝しろよ」

たけちゃんの言葉が脳裏をよぎる。

本当にね。ありがたい。好きな人とこんな時間を過ごせるなんて。

片想いだけどね。・・・虚しいな。

幸せな気持ちと、ちょっと切ない気持ちで深いため息がでる。

ああ、そうだ。
郡司さんがお風呂上がったら、着替えいれる袋いるよね。そのまま洗ってもいいんだけど、さすがに嫌がるような気がする。

キッチンに行って少し大きめなナイロン袋を用意する。

これでよし。

ソファーに戻ると、深い深呼吸をして気持ちを整える。

映画の続きみよーっと。

そして一時停止をしていたボタンを再生にして、さっきの続きを見始めた。

映画のエンドロールが流れ始めた頃に、お風呂のドアの開く音がした。

ドキン。と胸が高鳴る。

「森下、ごめんドライヤー貸して」

ひょっこり顔をだした郡司さんに、萌え。
タオルを頭に被せて軽く拭きながらこっちを見てる。

やだ。かっこいい。

「はい」

ちょっとだけうわずった返事になりながら、気持ちをおさえ脱衣場に向かう。

「えーっと」

顔があげられない。

だって、萌え死ぬ。

洗面台の一番したの引き出しを開けると、いつも使っているピンクのドライヤー。

取り出して郡司さんに渡す。

「これです」

「おお、ありがとな」

ぽんと頭を撫でられ、足元から視線を少しあげると、優しく微笑んでいる郡司さんの顔が視界に入った。

「い、いえ・・おおおお」

目があって恥ずかしくて視線をそらすと、タオルをかけている郡司さんの首元。
そしてその下は、上半身裸!

思わず変な叫びがでて、恥ずかしくなって慌てて脱衣場を出る。
ドアを閉めると、ドライアーの音がし始めた。

ドキドキが止まらない。

変な汗を感じながら、深く深呼吸をする。

上半身裸なんて、弟のを見慣れていたはずじゃない。
でも・・・肩から腕にかけての筋肉が・・・好みだった・・・・ハッ。なに考えてる?

やだやだ。頭を2回横に振って、顔をパチンと両手で押さえる。

ダメだ。こうなったら・・・。

テーブルのところまで歩いていって、置いてあるジョッキに手を掛ける。

半分入っているお酒を、ぐーっと飲み干す。

・・・酔っぱらってしまおう。もっと酔っぱらってしまえば、きっとこのドキドキも収まってくる。

はあはあと息を切らし飲み干して、テーブルに置いたとき
後ろから声がした。

「いい飲みっぷりだな」

!!・・・見られた!腰に手を当ててジョッキを飲み干している姿を!恥ずかしすぎる。

硬直して動けないでいると

「なに飲んでんだ?」

隣にたつ人影。
< 8 / 49 >

この作品をシェア

pagetop