メガネの彼に溺愛されてます
ささっと本を手に取り、定位置に座る。
カウンターの真正面。
我ながらストーカーみたいで気持ち悪いけど、別に恋人になりたいとかじゃないし、学校内で彼を探して追いかけ回してるわけじゃないし。
図書室で覗き見させてもらうくらい、ゆるしてほしい。
さっき本棚から取った本を机に立てて適当なページを開き、ちらちらとカウンターを見る。
…彼を見れるのは冬休みぶり、やばい嬉しい。
名前も、学年も知らない。
けど、顔が見たいだけだから知らなくてもいい。
本を借りるともっと近くで見られるんだけど、それは緊張するから無理かな。
遠くから見るだけで十分、なんて考えていると。
バチッと目が合った。
いけない、見すぎちゃった。
久しぶりだから油断した。
あわてて本に目線を落とすと、『ハムスターなんかに捕まるわけにはいかない』という意味のわからない文が書いてある。
なにこれ、私なに読んでるの。
表紙を確認すると『ハムスター探偵』と書いてある。
…適当に取りすぎたみたいだ。