メガネの彼に溺愛されてます
ーー
パタンと隆くんが本を閉じた音で、我に返る。
『ハムスター探偵』意外とおもしろくて、読んでる間、隆くんのとなりにいることも忘れちゃってたよ。
「それ、借りてく?」
時計を見るともう17時半で、図書室を閉める時間になっていた。
「借りないで、また明日読みに来るよ」
…学年違うし、ここでしかちゃんと会えないから。
遠回しに明日も会いたいと言ってみる。
「ふーん、明日も僕に会いたいんだ」
う、見透かされてた。恥ずかしい。
「…会いたいよ」
ばか正直にそう言うと、くしゃくしゃ頭を撫でられる。
「柊果ちゃん、かわいい」
メガネをくいっと上げながら、楽しそうに笑う顔はちょっと幼く見えた。