捨てられた聖女のはずが、精霊の森で隣国の王子に求婚されちゃいました。【改稿版】
かと思った次の瞬間には。
「それに、僕に早く触れて欲しいと言うように、両膝を擦り合わせて、素直に示してくれるところなんか。もう本当に愛おしくて愛おしくて、どうしようもないよ」
「ち、違うッ!」
不意打ちで、さっき無意識に示した反応を指摘されてしまった。
思わず鋭い口調で否定するも、これ以上にないくらいに全身が沸騰したように熱くなり、真っ赤になっていることだろう。
これでは肯定しているようなものだ。というか、そもそも事実なのだけれど。
それを素直に認められるほど、こういうことに慣れていないのだからどうしようもない。
どこか開き直ったような心持ちでいると、クリスからは意外な言葉が返ってくる。
「ノゾミ、ごめんね。怒らせるつもりはなかったんだ。ノゾミの示してくれる反応がどれもこれも愛らしかったものだから、ついはしゃいでしまったんだ。でも、これからは、意地悪なんてせずに、約束通り、たっぷりと愛してあげるからね」
クリスの言葉にほっと安堵していたら、直後、にっこりと極上の微笑を満面に綻ばせたクリスが、私の額にチュッと可愛らしいキスを降らせた。
私は、初めての夜同様、クリスのこの世の者とは思えぬ美しさに魅了され、無意識にコクンと顎を引くことで応える。
それからはもう、宣言通り、クリスによって私は、この世のものとは思えない悦楽の坩堝へと填まったかのように、たっぷりと愛されるのだった。
初体験もクリスだったために、王都での初めてのあの夜には、思いもしなかったけれど、狼獣人の血を引くクリスとの情交は、普通とは違っているのかもしれない。
といっても、比較することができないので、なんとも言えないのだが、兎に角こうして甘い蕩けるような初夜ははじまったのである。
ケモ耳&尻尾のみの狼獣人の姿となったクリスの、人よりも長くて肉厚な熱くぬめらかな舌で、咥内の弱いところを余すことなく、擽るようにして攻め立てられ、濡れた音を響かせつつ、ことごとく蹂躙されて。
思考には靄でもかかったかのように、うっすらと白く霞んでゆく。