捨てられた聖女のはずが、精霊の森で隣国の王子に求婚されちゃいました。【改稿版】

 だったら、レオンと一緒に寝なければいいと思うだろうが。

 私に偉く懐いて離れようとしなかったレオンとずっと一緒に寝ていたせいで、今では、私の方がレオンなしでは寝付けなくなってしまっているので、その選択肢はない。

 ふと足下で丸くなって転た寝しているレオンを見遣ると、気持ちよさげに穏やかな寝息を立てていた。

 その様子を見ているだけで、心は穏やかになれるし、なにより癒やされる。

 ルーカスさんの言葉通り、ゴブリンの呪いとやらの所為だったのか、まだ傷は完全には癒えてはいない。

 けれど順調に回復しているので、このままだとお別れする日も、そう遠くはないだろう。

 ーーレオンとの時間を大事にしたい。

 今一度、私は心に決めたのだった。

 ……となると、やっぱり下着の改善しかないのかなぁ。

ということで、私は最近、薬草探しの合間を縫って、下着の開発にも勤しんでいる。

 けれども、この異世界にというより、この精霊の森を出て王都の市井に出向くことのできない、追われる身である私には、材料を探すことさえもままならない。

 なので、開発は難航している。

 自分に与えられた、お世辞にも広いとは言えない部屋の小さな丸テーブルの上に置いたたった一着しかない貴重なブラジャーを前に、かれこれ数十分経つというのに、なんの妙案も浮かばず溜息を垂れ流して、そのままテーブルに突っ伏していた。

 未だに睡眠不足も解消しないままなので、そのままいつしか寝落ちしてしまっていたらしい。

 そうしてまた例の夢を見ていたようだ。

 でもいつもと違ったことがあった。

 驚くことに、とうとうレオンが登場したのだ。

 ただ登場していたならさほど気にしなかっただろうが、野々宮先輩に翻弄されいたはずが、いつの間にやら野々宮先輩からレオンに取って代わっているという、なんともはしたない、淫夢だった。

 どうやら私は、そうとうな欲求不満に陥っているらしい。

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