捨てられた聖女のはずが、精霊の森で隣国の王子に求婚されちゃいました。【改稿版】
思わず、『ヤダ。恥ずかしい』なんて口走っていた。
夢の中とは言え、ここへ召喚された際に、『貧乳』を理由に追放されたことが脳裏を過ったのだ。
先輩にも、胸が小さくてガッカリされるんじゃないかと、不安だった。
するとさっきまで優しい微笑を湛えていたはずの先輩の身体が瞬時に強ばり、顔からサッと笑みが失せ、なぜか悲しげな声音で問い掛けられる。
『……ただ恥ずかしいだけ? それとも本当は、僕に触れられるのが嫌?』
先輩が思い違いをしているのに気づいた私は、うっかり吐露してしまう。
『ち、違います。小さいからガッカリされるんじゃないかって思っただけで、嫌なわけじゃありません』
言った直後、そのことに気づいた時には、ホッと安堵した先輩の声が耳に届いて。
『なるほどね。けど、安心して。僕はそんこと気にしない。ノゾミはノゾミでしょう? 僕はノゾミの姿がどう変わろうともノゾミのことが好きだよ。永遠にね。神に誓ってもいい』
その言葉が胸にジーンと染み渡る。
胸を包み込んでいる先輩の手からも、あたたかなぬくもりと一緒に、先輩の想いが伝わってくるようだった。
『……なんだか、夢みたい』
夢見心地でぽーっとしたまま先輩のことを見つめていると、思わず零してしまった私の呟きに。
『夢じゃないってことを今から教えてあげる。だから、ノゾミ、僕にすべてを委ねて』
そういって甘やかな囁きを落とした先輩は、私が素直に頷くのを見届けてから、再びキスを降らせてくれた。
そうしてキスを交わしながらベッドに優しく組み敷かれていた私は、身に纏っていたものを素早く剥ぎ取られ、生まれたままの姿を晒していて。
『ノゾミ、とっても綺麗だよ。胸もとっても愛らしくて堪らない』
そこに先輩の甘やかな声音が降らされたことで、羞恥に襲われた私が両腕で身体を抱えて隠そうとするのを、やんわりと片手で制され、頭上で腕を一纏めにされて。
『ノゾミ、隠さないで。僕に全部見せて。お願い』
言いようのない羞恥に襲われて慄いているところに、再び先輩の甘やかな声音で強請られてしまえば、途端に胸をときめかせ、夢心地で瞳を閉じ先輩に何もかもを委ねていた。