雪のように、溶けてなくなりたい
「夏目!屋上行こう!!雪を見に行こう!」
「え…?!」
私が返事をする前に、陽子が腕を引っ張り教室の外に出て行く。
「ちょ…次の授業に間に合わなくなるっ」
廊下に出ると、ひんやりと寒さを感じる。
「大丈夫!山田先生、のんびりだから!急いで戻ってくれば、間に合うよ!」
廊下を早足で駆け抜ける。
前を走る陽子の髪から、シャンプーの香りが鼻に感じる。
爽やかで、ちょっと甘い香り。
陽子のイメージ通り。
「夏目、早く早く!!屋上行って、またダッシュで戻るからっ」
さっきよりも、足を早める陽子を追いかけるのに精一杯。
「はぁ…はぁ…」
冬なのに、じんわりと汗をかく。
この汗を、不快に感じる。