雪のように、溶けてなくなりたい
「はぁー!着いたっ」
2階~5階の階段を駆け上がり、やっと屋上の扉の前にたどり着いた。
「開けるよ!覚悟して」
陽子が満面の笑みで振り返り、屋上の扉を開けた。
ビュッ…ン
「ぶはっ…」
「さむっ」
屋上の扉を開けると、強い風が身体を切った。
「さむーい!!!」
陽子は震える身体を自分の腕で包みながら、扉の外に出た。
「マジで、さむ…」
その後を追うように、制服の袖に手を引っ込めながら扉の外に出た。
「うわー…すごいっ」
寒い寒いと言いながら、陽子の声は弾んでいる。
どんよりした曇り空から次々と、雪が舞い落ちる。
そして、コンクリートの上に落ち、溶けてなくなる。
…あぁ…
本当にー…
舞い落ちる雪を目で追い、コンクリートの上で溶けてなくなるのを見つめる。
「ねっ!夏目…」
「私も溶けてなくなりたい」