雪と虎
きた
大学に入って二度目の春。
わたしは家を離れた。
二年目のキャンパスが地元でないことは予め言っていた。虎太朗以外に。
後で話すから言わないで、と言って、ここまできてしまった。
作戦は成功だ。
母と父は心配していたけれど、父の友人が持つマンションに住まわせてもらうので、安全面は問題ない。
送迎をしてくれる人も数人来てくれた。断ったけれど、沼西さんが譲ってくれなかった。
「虎太朗がいるなら良いですけど」
「それは絶対にない」
二月後半から虎太朗とはあまり顔を合わせていない。
桜は咲き終えた。