雪と虎
引っ越し当日、虎太朗からの電話とメッセージで常に携帯が鳴りっぱなしになった。
それで携帯の電池が切れるくらいには。
これは大変だ、とわたしは携帯を買い替えた。
『もう大変よ』
宅配便で届いた荷物の依頼主の住所は、実家だ。品名には荷物と書かれている。静かに揺らしてみるが、爆弾や死体では無さそう。
しかし、この角ばった字には見覚えがある。
布テープを外すかどうか迷ったまま、段ボールを見つめる。重いので動かすのは面倒。
「何が大変?」
『コタくんがねえ、まあもう』
「え、コタが?」
母に、この荷物の詳細を尋ねようと電話をかけたんだけど。