雪と虎
何故か、母の話に持っていかれている。
急に虎太朗の話になって、どきりとした。
『いっちゃん、どこに引っ越したのかって』
「なんで引っ越したことはバレてるの……」
『ちょっと調べればキャンパス変わることくらい分かるでしょう』
それもそうだ。あんまり携帯を弄るのを見たことはないけれど、虎太朗は情弱ではない。普通に高校生らしく……。
「そう、荷物届いたんだけど」
『うん? 何の?』
「わたしがそれを知りたくて」
電話をしたのだけど。
声をかき消すように、ピンポーンとチャイムが鳴った。