雪と虎
「……何しに来たの?」
温かいお茶を出す。虎太朗は咀嚼しながら顔を上げた。
飲み込んで、一言。
「ご馳走様」
「お行儀の良いことで」
わたしにもう少し度胸があれば頭を叩いていたことだろう。
「この荷物なに?」
「服とか」
「泊まるの?」
それにしたって大きな荷物だ。一泊どころじゃないのか。
「泊まるというか、住む」
「住む……?」
虎太朗は弁当パックを袋にまとめて、立ち上がる。段ボールのガムテープを取った。
中には確かに、服が入っていた。
「住むって、ここに?」
「部屋あるだろ」