雪と虎

時間が合うと一緒に車で登校することもある。
わたしの大学の近くでおりて、表門まで着いてくる。

「気をつけて」

かけられる言葉に、返事をしないまま、わたしは足を進めた。

この状況をなんとかしないといけない。

母や父に泣きついて虎太朗を追い出す? でもそれは自尊心が赦さない。

じゃあもう虎太朗が自分から嫌になって出ていくことしかない。

「虎太朗、お腹空いた」

勿論、虎太朗は小間使いではない。
でも、わたしが最初に発した言葉はそれだった。

きょとんとした顔でこちらを見上げる。

「中華買ってきて。熱々のやつ」

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